Everything is better than

日記ということにします。しばらくは。

土地に根差す期間。

田舎がいいのか、都会がいいのかという論争には自分の中ではもう終止符が打たれていて、田舎もいいし都会もいいので、行き来できる生活をしよう、というところだった。

 

行ったり来たりするということが昔から好きだった。

 

あっちに行き、行き止まりだったら戻ってきて、今度はこっちに行く。10歳の夏休みに飲み物だけもって、山の中に目的もなく冒険に出るみたいな気持ちがとても好きだ。

 

日本には「道」というつく文化が多数あり、私が数年ばかり学んだ「茶道」も大変立派で、素晴らしい文化であると思う。

 

そんな「道」がつく文化というのは、今でこそ「進むべき道」として固く安全に舗装されているようなところがあるが、もともとは山道茨道を開拓して、行ったり来たりして、仲間を連れてきたりして、踏み固めて行ったんじゃないかと想像したりする。

 

唐物の品位のある美的感覚に対して、我が国の美的感覚はいかに?と和物を茶室に持ち込んでいったかつての茶人たちは、歩いていく道などあったのだろうか、と思う。

 

コロナのこともあり、移動生活のリスクも増大したので、今でこそ都会と田舎を行き来する生活がベストとも言えない。

 

都会ではコロナのことで食べ物を買いに外に出るのも怖いという、縄文時代の夜かと、獣や魑魅魍魎とのサバイバル生活だった時代の再来なのかと、冗談ともとれないそんな世相であるが、しかし人の往来の少ない田舎というのは、コロナの心配は多少、対岸の火事であるようなところもある。

 

自給自足的な社会が失われていないので、自分たちでつくった野菜や米を消費していればなんとかなる。

 

「道」をつくるには行ったり来たりするということが大事だとも思っているが、あるていど腰を据えることも同じく大事であり、土地に根付いていく決心を後押ししてくれたという意味では、コロナで人生が変わった一人になるなあ、と感慨深いものがある。

 

経済のことを考えると、このまま数年も自粛する流れになることはありえないので、またいずれ東京や海外での仕事も考えていきたいと思っているけれど、しばらくは集中して、愛すべきこの土地に根差す期間ができた、と思った。