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日記ということにします。しばらくは。

市橋クリニック院長市橋秀夫監修『境界性パーソナリティ障害は治せる』のレビューがすばらしかったので紹介したい

たまたま私のまわりには、心の病を持った人や心が弱った人、社会に適応できなくて悩んでいる人が多く集まる傾向にあります。

お茶、というものの力で、癒されているのではないか、と思うのですが、相談をされても私はお医者さんではないので「医療的なアドバイス」はできないため、返答に悩んでしまうことなどがあります。

一番は本人をよく見て、向き合うことが大事だと思っているのですが、家族でもない、担当医でもない、一般の社会関係で結ばれた人間として、どこまで踏み入っていいのか、あるいは踏み入ってはだめなのか、そういうことを知るためにも、本を探していました。

そして、『境界性パーソナリティ障害は治せる』を見つけました。


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たまたまネットで見つけて購入したのですが、購入した後に素晴らしいビューがAmazonに乗っていました。

ご家族のかたの誠実な向き合いが伝わってくる文章です。

ケースのひとつとして、すべての人に当てはまるわけではないと思いますが、同じような悩みを抱えた人もいるのではないかと思い、原文そのまま引用いたします。

感動しました。
この本が非常に優れていると感じた点は3つあります。

'1 境界性パーソナリティー障害の症状の根本原因をはっきりと、「見捨てられる不安」に据えている点。
'2 それに対しての対応策を、非常にシンプルに提示している点。
'3 タイトルの通り、境界性パーソナリティ障害は「治せる」、としている点です。

わたしには、境界性パーソナリティ障害の家族がいます。
これまで様々な専門書や専門機関にあたり、対応策をあれこれと学びました。

しかし、学べば学ぶほど、分からなくなる点も多くなる。
逆に、それらの様々な方法論に自分自身が振り回されることもしばしばでした。

本書は、最新の専門知識を統合して抽出した、極めて実戦的な本だと思います。
境界性パーソナリティー障害に苦しむすべての当事者、そして家族に、読んでほしいと感じました。

この本を地図として、家族と「治る」を目指します。
市橋先生、ありがとう!

●追伸・・・2カ月後の追伸です

この本を読んでからいろいろと考え、アクションを起こしました。
いかは、そのプロセスです。

あらためて本人を見つめると、「見捨てられるにちがいない」と本人が不安がっているということが、よくわかりました。
かつて本人の「見捨てられ不安」を醸成する環境があり、その感覚が今も根深く、本人の中に生きているのだと感じました。

ならば、あらためて、「見捨てられることはないのだ」という体験を積み重ねていくことが重要だと考えました。
ただし、これについてはそれまでも、家族なりに対処をつづけていました。そして、改善が見られなかった。

ということは、本人が「自分は見捨てられない」という体験を家族内のみでこれ以上積み重ねるには無理がある、ということなのではないか。
家族外でも、その体験を積み重ねられる環境を探すべきなのではないか。そう考えて、本人とつながれる社会資源を必死に探しました。

で、この本の購入から1週間後、当事者同士で運営されている自助的なグループにたどりつきました。
グループの理念の大きな柱の一つは、「人を排除しない」ということ。まさに、「見捨てられ不安」の移し鏡のような理念です。

通い始めて2カ月、本人は現在、嬉々としてそのグループに通っています。
様々な人との出会いがあり、考え方も、態度も、ものすごく変わりました。

最大の変化は、本人に「人を受け入れる」という素地が、出会いと体験を通してでき上がっていったということだと思います。
人を受け入れ、そのことで自分も受け入れられるということを本人が、出会いと体験を通して実感し、それによって孤独感から脱出していったという感じです。

家庭内でも、以前のような歯止めの利かない暴言や暴力、自傷的行為、イライラした様子が、減ったというよりも皆無になりました。
本当に、驚くべき変化です。今も少なくない薬の服用はつづいており、長期で見守るべきことではありますが、それでも本当にかつてない、良好な状態がつづいています。

この良好な状態にたどり着けたのは、言うまでもなく、本書が「問題の本質は見捨てられ不安である」と喝破してくれたおかげです。
そのおかげで、わたしたちは「見捨てられ不安」にターゲットをしぼって対処をすることができました。

本当に、ありがたかった。
あらためて、市橋先生、ありがとうございました!

●追伸2・・・1年後の追伸です。

この本を手に取ったのが2013年5月、それから1年が過ぎた今の状況です。

1年前の自分のレビューを、「ああ、そうだった、そんな状況だった」と、少し遠い過去のように感じながら読み返しました。

この著書にあった「見捨てられる不安」は、ほぼゼロになったと感じています。

そのプロセスを書いておきたいと思いますが、その前に、前提として、以前のレビューで書かれていない、あるいはぼやかしていた事柄を先に書いておきたいと思います。

前提1 境界性人格障害の家族とは、私の妻です。

前提2 妻の発症は20代中盤、今の年齢は30代序盤です。

前提3 妻は幼少期、長期に渡って実父から性的なものも含む虐待を受けつづけ、また学校でもずっといじめられていました。いわゆる複雑性PTSDです。(ハーマンは、著書『心的外傷と回復』において、複雑性PTSD境界性人格障害と同一視しています)

前提4 長い間(足掛け15年)、摂食障害に苦しんできました。

前提5 最初の診断は統合失調症、しかしその後、(医者はなかなか認めようとしませんでしたが)境界性人格障害であることがほぼ確定しました。

前提6 本書を手にとったのは、摂食障害の克服に取り組み始めて1年が過ぎた時期、また境界性人格障害であると判断して医者を説得し減薬に取り組み始めた時期でした。

※ご存じの方も多いと思いますが、境界性人格障害への向精神薬の効果は限定的です。その期間も、長くとも4週間とされています。このことを理解せず、漫然処方で患者の人生をぶっ潰す無知な医者の、なんと多いことか! おまけに減薬の仕方をほとんど知らないと来ている! 副作用の知識も、離脱症状の知識もない! ゆえに家族は自分で勉強するしかない! レベルが低すぎる! ひどすぎます!

さて、担当医への怒りはこのくらいにして。

この1年の間に、信頼している人物からのセクハラ事件があり、彼女はやや、引きこもりがちになりました。

上記追伸1で書いた自助グループにも、通わなくなりました。

しかし、本人の精神状態は極めて良好です。家族内はいたって平穏です。

薬も、ちびちびと減らし、この1年で、最大期の量の15%にまで減らしました。薬が減ったことにより思考力と体力が回復し、物事を客観的に眺められるようになりました。(あと半年ほどで、向精神薬はゼロになるでしょう)

向精神薬の減薬と体調の回復は連動します。このことは、非常に重要なポイントです。向精神薬は、思考力を奪います。たとえば認知行動療法にせよ、思考力がなければ取り組めないし、また取り組む意欲も出てこないからです。

摂食障害については、15年つづいた過食嘔吐行動は皆無です。

過食嘔吐衝動もなく、わずかに食べ物に関するこだわりが残っている程度です。

引きこもりと言っても家にこもりっぱなしということではありません。

家での家事はもちろん、買い物に出たり、登山を趣味にしたりと、非常にアクティブに生活しています。

本人は「人と会うのがまだ怖い」と言うようになりました。

しかしこれは「見捨てられる不安」がなくなり、「自分は見捨てられるような人間ではない、大切な人間なんだ」と思えるようになったからだと思います。

なにしろ以前は、「自分なんて死んでも誰も悲しまない」と捨て鉢で希死念慮を持ち、自殺企図さえあったのです。

その頃なら、人なんて怖いはずもない。あるいは、本当は怖かったとしても、その感情を無視していたに違いありません。

ゆえに、ここにきて妻が「人が怖くなった」と言うのは必然的。回復プロセスの一過程だと見ています。

引きこもりはしばらく続くかもしれませんが、今はゆっくり休めばいい。3年くらい前の地獄ような状況に比べれば、なんてことはありません。

甘く見るわけではありませんが、それでも人と少しずつ、会えるようになっているという、回復傾向にあります。

私だけでなく本人も本書を読み、自分が今どこにいるのか、なぜ今こうなっているのかを、かなり理解するようになりました。

本人に笑顔が増えました。毎日、笑って暮らしています。

暴言、暴力、まして自傷行為など、その痕跡すらない感じです。

まだこの本と出会って、境界性パーソナリティーの克服、「治る」に向かって取り組み始めてから、わずか1年です。

だから、完治したとは言いません。しかし、成果は確実に出ています。

その後も様々な書籍を読みましたが(妻の病に関連する書籍の、私の読書冊数は150冊を超えました)、この本に書いてあることは本物です。私が対策を立てるにあたっての、大きな柱です。

その意味で、この本との出会いは、私たちが「治る」へ向かう道のりの、記念すべき1里塚でした。

大切なのは、実践。たとえ時間がかかるとしても「治る」と信じて取り組むことが、何より大切だと思います。

本書を読んだらそれだけで治る、というわけじゃもちろんありません。でも、本書に書かれていることを自分なりに工夫して実践に結びつければ、確実に効果は出ると思います。

「どーせ初心者向けの本でしょ? きっと、他の本で読んだのと同じことが書いてあるよ。いろいろ本読んだけど治らないよ。だから読んだって、どうせ無駄無駄」

なんて言わないでほしいです。

少なくとも和書では、境界性パーソナリティ障害は治るのだと断言してくれた書籍は、私の知る限り、市橋先生のこの本が最初です。

また「見捨てられる不安」にターゲットを絞り、これだけ重点を置いて書いてある境界性パーソナリティ障害の本も、先生のこの本が最初です。

ゆえに、この本は私たちだけでなく、日本のすべての境界性パーソナリティ障害者とその家族にとって、回復をめざす一里塚たりえると思います。

大切なのは、本書で知識を得ることよりも、本書に書かれていることの実践です。

境界性パーソナリティー障害は、市橋先生のおっしゃる通り、治ります!

境界性パーソナリティー障がいに苦しんでいる当事者の方、そして家族の方、本書をぜひ手にとって、実践してみてください!

●追伸3 2年後の追伸です。

この本を手に取ってから、2年後の追伸です。

追伸2で触れたとおり、向精神薬は半年前になくなりました。

2週間に一度だった精神科への通院も、3週間に一度、4週間に一度となり、4か月前に通わなくなりました。

無理矢理、通うのを止めたわけではありません。

生活上で困ったことも、相談するようなことも、なくなった。

いわば、精神科に通う理由そのものが、なくなったからです。

心配された向精神薬の減薬による離脱症状は、最新の注意を払って実行したこともあり、ほとんど皆無といっていい感じでした。

現在は、断薬直後にわずかにあった離脱症状(体の震えなど)もまったくありません。

摂食障害の痕跡、もはやありません。

人づきあいが苦手、は、もはや病的なものではなく、個性と呼べる程度のものとなりました。

障害に対する国からの援助についても、更新手続きをしませんでした。

私は、それまで読み漁っていた、妻の病に関する書籍を、買わなくなりました。

病そのものが消えたので、当たり前ですが、それに関する情報を、必要としなくなったからです。

好調、まったき好調です。

その好調が、この半年間で定着、当たり前となりました。

あえて、「治る」のカッコを外して、申し上げます。

妻の境界性パーソナリティは、治りました。

このレビューの定期便も、今回を最後にしたいと思います。

あらためて『境界性パーソナリティ障害は治せる』について。

正直に言えば、この本を手に取りレビューを書きはじめたころ、「治る」かどうかについての確信はありませんでした。

それはいわば、妻に治ってほしいという願望にすぎませんでした。

しかし、今は違います。

現在、苦しまれている当事者の方、あるいは家族、パートナーの方。

その辛さに深い共感を覚えつつ、私は確信を持って申し上げます。

この本に書かれている内容を自分なりに噛み砕き、実践を積み重ねて行けば、

境界性パーソナリティ障害は、治ります!

●追伸4

7年後の追伸です。

ふと思い立って、ひさしぶりにこの本のページを開きました

そして、私のレビューが「役に立った」という人が600人を超えていて、びっくりするとともに、

今も、境界性パーソナリティ障害に苦しむ方々が大勢いらっしゃるとあらためて実感しました。

追伸3で、「もうこれでコメントを最後にします」としましたが、

何かのお役に立てればと思い、7年後の現在、どうなったかについて加筆します。

現在の妻は、私と、とても平穏な暮らしを続けています。

とても穏やかな性格の現在の妻を見て、かつての「地獄の嵐」を想像する人はまずいないと思います。

繊細ではありますが、病的なそれではありません。

たまに、過去の記憶が生々しくよぎるといいます。

けれども、それに振り回されることはありません。

すぐにそのフラッシュバックを捨てて、元の生活に戻ります。

それは彼女が、自分にとって今何が最も大切なのか、分かっているからだと思います。

今、彼女にとって最も重要なこと、それは自分の子どもです。

妻と私は親となり、人並みに、子育てに悩んでいます。

そのことがとても幸せです。

加えると、まもなく私たちに家族が増えます。

二人目の子が生まれようとしています。

幸せは、もっともっと膨らんでいくことでしょう。

最後に、あらためて一言申し上げます。

境界性パーソナリティ障害は治ります。

みなさん、どうか希望を持ち続けてください。

苦労と、献身的な態度が良くわかるレビューで、本当に感動しました。

「見捨てられる不安」を無くすことに絞って、アクションを続けた結果ですね。

こちらには書いておられませんが、パーソナリティ障害の代表的な行動パターンに、暴力や攻撃、自傷や依存といったものがあります。人によって現れ方はもちろん違うのでしょうが、現実的に家族という距離感で、それらの行動に日々向きあっていたことを考えると、本当に涙が出てきます。

「こんなに向き合っても治らないなら、縁を切れば自分は苦しまなくてすむのに」と考えてしまったり、考えてしまった自分に対して嫌悪感を抱いたり、家族のケアを家族でやるというのは言葉では言い表せないほど苦しい思いがあったのだと思います。

見捨てない、というのは、簡単に言うことができますが、メンタルの波や攻撃的な行動で毎日振り回されても見捨てないのは並々ならない覚悟と努力のたまものです。

私は第三者としてですが「見捨てない居場所」「居場所になるコミュニティ」をつくることができたら、と思いながら本を読みました。