梨、おいしい。
最近、梨をよく食べています。幸水、150円くらいでした。
みずみずしくて、あまくて、本当においしい、
こう、おいしい食べ物を食べたときというか、だいたい世の中に出回っているのはおいしい食べ物なんですが、とくにこんな「果物」を食べたとき、昔の人はこんなあまくておいしい果物、貴族しか食べられなかったんだろうなあーと思って食べています。
そんなことはないのかもしれないけれど。
すくなくとも農作物については、かなり品種改良や栽培技術の向上によって、ここ数十年で目覚ましい変化を遂げているのではないでしょうか。
むかしは干し柿が和菓子の甘さの基準になった、というような話もあるくらい、天然で甘いものは珍しかったのです。
食品添加物などもなく、保存もなかなか難しいということもあり、新鮮なとれたての魚とかは今と変わらないくらいおいしかったのだと思いますが、食べ物に関しては現代に生まれたことで、昔の貴族の暮らしができているんだよなあ、と思います。
最近、現代の広告マンでミニマリストの山上君という男が、奈良時代にタイムスリップしてしまって、「山上憶良」として歌を読むという漫画を読みました。かなりおもしろくて当時の庶民が食べている「塩」をなめると、これはいい塩だ、いろんな味がする、と言って感動したり、なにもない部屋で「これが最高にミニマルな部屋だ」「4000くらいの部屋を見てきたけど一番いい! 」と言ったりしているようなかんじです。
でも、これってけっこう本質だと思っていて現代の豊かさ、あるいは喪失しているもの、について考えるには、過去の生活と比較してみるのって大事だと思うんですよね。
これが大事なんじゃないか、これは余分なんじゃないか、という判断を、現代や今の目線ではなくて、過去や、他人の目線でおこなうというか。
梨なんて、みんな食べてるし、もう食べ飽きたよーなんていう人もいるのかもしれませんが、このありがたさ、というものを同時にかみしめたとき、150円以上の味がするものです。
本当は、梨を3個買ったときは赤ワインで煮ようかな、とかシロップ漬けにしてみようかな、とも思ったのですが、ふつうに皮をむいて食べるだけでおいしかったので、全部そのまま食べてしまいました。
梨、好きです。